「花の蘭太郎」

〈登場人物〉
花山蘭太郎:小学5年生。10才。
花山竜胆(りんどう):蘭太郎の父。47才。
花山菖蒲(あやめ):蘭太郎の母。45才。
花山桜子:花山家の長女。大学2年生。19才。
花山藤子:花山家の次女。高校2年生。16才。
花山桃子:花山家の三女。中学2年生。13才。
不動高志:蘭太郎の担任の先生。23才。
ミキ:蘭太郎の同じクラスの親友。10才。
好子:蘭太郎の同じクラスの親友。10才。

〈舞台〉
現代。蘭太郎が通う蜂須賀小学校と、花屋敷と呼
ばれる蘭太郎の広い庭のある家が舞台です。

第1話「女言葉禁止令」
(あらまし)
小学5年生の新学期。自己紹介の時、新しく担任
になったイケメンの不動高志先生から女言葉禁止
令が出ちゃいます。

〈今回の登場人物〉
花山蘭太郎:小学5年生。10才。
不動高志:蘭太郎の担任のイケメン先生。23才。
ミキ:蘭太郎の同じクラスの親友。10才。
好子:蘭太郎の同じクラスの親友。10才。

[1] 
  5年1組の教室。
  黒板を背に
蘭太郎「あたしはランちゃん
    本名は花山蘭太郎よ
    お姉ちゃんが三人もいるの
    シンデレラ姫よりも多いでしょ」
不動「ちょっと待った〜」
[2] 
蘭太郎「はい?」
不動「なんだ今の自己紹介は。
   男子たるもの女言葉を使っちゃいかん」
[3] 
蘭太郎「え、え〜っ」
不動「今から自分のことは僕と言いたまえ」
[4] 
  涙をポロポロ流す蘭太郎の左右にミキと好子。
好子「先生、ひどいわ」
ミキ「ランちゃん、泣かないで」
蘭太郎「ミキちゃん、好子ちゃんありがとう」
N「三人合わせて蜂小キャンディーズなのです」

注:Nはナレーションです。


第2話「見えない敵」
(あらまし)
蘭太郎の長姉の桜子が、女言葉を禁止した不動に
電話で抗議する。

〈今回の登場人物〉
花山桜子:花山家の長女。大学2年生。
     長い髪の美人。
蘭太郎:小学5年生。
不動高志:蘭太郎の担任のイケメン先生。23才。

[1] 
  花山家の居間。
  桜子が携帯電話でしゃべっている。
  蘭太郎が桜子にくっついて聞いている。
桜子「男が女言葉使って何が悪いのよ。言論の自 
 由の弾圧よ。あなたそれでも教師なの」
  桜子の頭の中では想像上の不細工な顔の不動
  が浮かんでいる。
[2] 
  所変わって不動が職員室の電話でしゃべって 
  いる。
不動「冷静になって下さい、お母さん。そんなに 
 怒るとしわが増えますよ」
  不動の頭の中でも想像上の不細工なおばさん
  の顔が浮かんでいる。
[3] 
桜子「なんて失礼な人でしょ。私は蘭太郎の姉で
 す。しわなんかないわよっ。両親は留学中なの。 
 明日、学校へ言って直接お話しますわ」 
  うんうんとうなずく蘭太郎。
[4] 
不動「望むところです」
  不動の頭の中では不動が火を吹いている怪獣 
  と格闘している場面が浮かんでいる。


第3話「会ってみたら」
(あらまし)
翌日、学校へ乗り込んできた桜子は不動に会って一
目ぼれしてしまい、蘭太郎を男の子化するための協
力を申し出る。

〈今回の登場人物〉
花山桜子:花山家の長女。大学2年生。
     長い髪の美人。
蘭太郎:小学5年生。
不動高志:蘭太郎の担任のイケメン先生。23才。

[1] 
  5年1組の教室。
  不動、蘭太郎、桜子がそろっている。
  不動は戦う気、満々である。
不動「初めまして。不動高志です」
桜子「う(と絶句)」
桜子(M)「(冷や汗をかきながら)すごいイケ
 メンじゃん」
[2] 
蘭太郎「お姉ちゃん、どうかしたの?」
桜子「べ、別に。弟の蘭太郎がお世話になってい
 ます」
[3] 
不動「欄太郎君には男の子としての教育を受けさ
 せるべきだと思います」
  とキッパリ言う不動。
桜子「(とぼけたように)そうですわね〜。蘭太
 郎ももう5年生ですし」
[4] 
  桜子は目を輝かせて
桜子「男の子らしくさせますわ」
蘭太郎「うっそ〜っ」
  不動の頭の中では火を吹く怪獣がお手をして
  いる姿が浮かんでいる。

注:Mはモノローグ(独白)です。


第4話「姉弟全員男性化計画」
(あらまし)
欄太郎を男らしくするために桜子は姉妹全員が男
言葉を使って男らしくすることによって蘭太郎を
男らしくしようとする。

〈今回の登場人物〉
桜子:花山家の長女。大学2年生。19才。
藤子:花山家の次女。高校2年生。16才。
桃子:花山家の三女。中学2年生。13才。
蘭太郎:小学5年生。10才。

[1] 
  花山家の居間。
桜子「蘭太郎を男らしくするために、私達姉妹は
 今から全員、男になりきるのよ、わかった?」
[2] 
藤子「わかったぜ、兄貴。オモロそうじゃないね
 えか」
桃子「がんばるぜ」
[3] 
桜子「おい、俺のケツに触んなよ」
藤子「なにお、おまえなにケンカ売ってんのじゃ」
桃子「やめれ、やめれ。俺はクソしてくるわな」
  扉の影から居間をのぞいている蘭太郎。
[4] 
蘭太郎「こ、こわい」

                 (つづく)